水性塗料と弱溶剤塗料はどっちがいい?違いと自宅に合う選び方
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執筆:
那須康一郎
経歴:
株式会社ケイナスホーム創業者/
株式会社ケイナス代表取締役
保有資格:雨漏り診断士/外装リフォームマスター/1級塗装技能士/1級防水施工技能士「水性塗料は長持ちしない?」「弱溶剤の方がしっかり密着する?」。外壁塗装の提案を比較していると、どちらを選べばよいのか迷うことがあります。
水性・弱溶剤という分類だけでは、耐久性の優劣や自宅への適否は決められません。 外壁材と古い塗膜の状態、使う製品、下塗りと上塗りの組み合わせ、施工条件を確かめることが大切です。においが気になる場合も、外壁の仕上げ塗料だけでなく、下塗りや付帯部まで含めて相談しましょう。
ケイナスの代表は、ケイナスホーム創業から18年、埼玉で3,000棟以上の住まいの工事に携わってきました。
この記事では、水性塗料と弱溶剤塗料の違いを整理し、具体的な製品例とともに、提案書で確認したいポイントをご紹介します。
◾️水性と弱溶剤の違いは?におい・耐久性・仕上がりを比較
水性と弱溶剤は、塗料を分類する言葉です。においや施工時の扱いに違いがありますが、分類名だけで「こちらの方が長持ちする」「どの外壁にも使える」とは判断できません。
まずは、分類の意味と、製品ごとに比べる項目を分けて整理しましょう。
希釈に使う材料と「弱溶剤」の意味
日本ペイント「水性塗料」・「弱溶剤形塗料」でも水性塗料は、水で希釈できる塗料の分類です。弱溶剤塗料は、比較的溶解力の弱い溶剤を使う塗料を指します。ここでいう「弱」は、塗膜の強さや耐久性が弱いという意味ではありません。
ただし、どちらも施工時に必ず薄めるわけではなく、無希釈で使う指定の製品もあります。希釈の必要性や使う材料は、製品の仕様に従います。
衣服も、水洗いできるかどうかだけで、生地の丈夫さは決まりません。塗料も同様に、水性か弱溶剤かという分類と、製品としての耐久性は分けて比べます。実際の塗装では、さらに外壁材や古い塗膜に使えるかを確認する必要があります。
また、「水性・弱溶剤」「シリコンなどの樹脂の種類」「1液・2液」「下塗り・上塗り」は、それぞれ異なる確認項目です。例えば「水性」と聞いただけでは、樹脂の種類や、どの工程に使う製品なのかまでは分かりません。
においと施工条件の違い
水性塗料は、一般に溶剤形塗料より塗装中・塗装後のにおいが少ない特徴があります。施工中の生活への影響が気になる方にとって、比較したい項目の一つです。
ただし、においが少ないことは、無臭という意味ではありません。「水性だから生活上の配慮は不要」と考えず、どの部位に何を使い、どのような作業を行うのか確認しましょう。
乾燥中の条件にも注意が必要です。日本ペイントでは、水性塗料について、塗装中や生乾きの状態で降雨・結露にさらされると、仕上がりに問題が生じやすいと説明しています。施工できる条件や塗り重ねるまでの扱いは、採用製品の仕様で確認します。
耐久性や艶は製品ごとに比べる
「水性より弱溶剤の方が長持ちする」という説明だけでは、比較条件が足りません。樹脂や製品仕様、対象となる面、下地処理、施工条件が違えば、分類だけを比べても判断できないためです。
艶についても、分類名ではなく、採用する製品にどの仕上げが用意されているかを確かめます。提案書に水性・弱溶剤の記載しかない場合は、正式な製品名を確認してください。
比較する項目 | 水性 | 弱溶剤 | 選ぶときの確認点 |
|---|---|---|---|
分類 | 水で希釈できる塗料の分類 | 比較的溶解力の弱い溶剤を使う分類 | 無希釈指定を含め、製品の使用方法を確認 |
におい | 一般に溶剤形より少ない傾向 | 使用する溶剤のにおいへの配慮が必要 | 全工程で使う材料と作業範囲 |
耐久性 | 分類だけでは決まらない | 分類だけでは決まらない | 樹脂、製品仕様、下地、施工条件 |
艶・仕上げ | 製品ごとの設定による | 製品ごとの設定による | 採用品の艶と仕上がりの説明 |
下地への適合 | 製品ごとに対象がある | 製品ごとに対象がある | 外壁材、表面処理、古い塗膜 |
施工条件 | 製品仕様の確認が必要 | 製品仕様の確認が必要 | 乾燥中の天候、塗り重ね条件など |

【水性・弱溶剤と、樹脂・1液2液の比較軸を分けた図】
◾️外壁に合うかは下地と下塗り・上塗りの組み合わせで変わる
新しく塗る塗料が接するのは、外壁材や、その表面に残る古い塗膜です。この面に適した下塗り材を選び、上塗りまで含めて使える組み合わせか確認します。
「水性だから密着しにくい」「弱溶剤なら密着する」と考えるより、何の外壁に、どの製品を、どの仕様で使うのかを聞く方が、提案を具体的に理解できます。
特殊な表面処理があるサイディングで確認すること
サイディングには、汚れにくさや耐候性などを目的として、特殊な表面処理を施した製品があります。そのような外壁では、見た目の柄だけで塗装仕様を決めず、製品や表面仕上げを確認することが大切です。
具体例として、日本ペイントには次の下塗り材があります。
下塗り材の例 | 分類 | メーカーが案内する対象の例 | 住宅で確認すること |
|---|---|---|---|
水性パーフェクトシーラー | 水性・2液 | 高意匠サイディングなど | 自宅の外壁・表面状態が適用範囲に入るか |
1液ファインパーフェクトシーラー(透明・ホワイト) | 弱溶剤・1液 | 高意匠サイディングなど | 対象下地と、採用する上塗りとの適合 |
水性の下塗り材にも、特殊な表面処理のサイディングへの対応を案内している製品があります。そのため、「難付着面だから必ず溶剤形」とは決められません。
一方、この2製品を自由に入れ替えられるという意味でもありません。自宅の外壁製品、現在の表面状態、採用する上塗り材と照合する必要があります。いずれも無希釈指定の製品であり、分類名から希釈方法を推測しないことも大切です。
出典:日本ペイント「水性パーフェクトシーラー」・「1液ファインパーフェクトシーラー(透明・ホワイト)」
施工会社には、「何を確認してこの外壁材と判断しましたか」「この下塗り材が使える根拠はどの資料ですか」と聞いてみましょう。製品名と調査内容が結び付くと、下塗りを選ぶ理由が分かりやすくなります。
外壁材そのものの違いは、サイディングの種類・製品ごとの手入れと判断方法でも紹介しています。
弱溶剤の下塗りと水性の上塗りは併用できる?
異なる分類の塗料でも、塗り重ねられる仕様はあります。下塗りが弱溶剤、上塗りが水性というだけで、不適切な提案とは判断できません。
ただし、自由に組み合わせてよいわけではありません。日本ペイントも、塗り重ねには推奨できない組み合わせがあり、膨れやしわなどにつながる場合があると案内しています。
確認するのは、分類名ではなく、採用する下塗り材と上塗り材の正式な製品名、その組み合わせを示すメーカーの塗装仕様です。仕様にない組み合わせの場合は、施工会社からメーカーへの確認内容などを説明してもらいましょう。
なお、ここでいう併用は、工程ごとに塗り重ねることです。別の塗料を容器の中で混ぜるという意味ではありません。

【既存の外壁・下塗り・上塗りの適合を確認する図】
鉄部や雨樋も素材と製品の適用範囲を確認する
鉄部の塗装でも、水性の製品を使える仕様があります。
例えば、日本ペイント「水性ファインSiⅡ」は鉄部用の水性上塗り材です。同社は「1液水性デクロ」などの水性さび止め塗料と組み合わせた鉄部塗装を案内しています。
これは、「鉄部だから必ず溶剤形」とは限らないことを示す例です。ただし、すべての金属や古い塗膜へ、そのまま使えるという意味ではありません。
また、雨樋と鉄部は同じ対象として扱わず、実際の素材を確認します。「付帯部はこの塗料」という説明を受けたら、雨樋、破風板、金属部など、どの部位に何を使うのか分けてもらいましょう。
例えば、「雨樋と金属部には同じ製品を使いますか」「それぞれの素材と古い塗膜に対して、どの下地処理・下塗りを行いますか」と聞くと、部位ごとの仕様を確認できます。
ここで紹介した製品は、分類だけでは適否が決まらないことを理解するための例です。ケイナスの標準採用品を示すものではありません。
◾️直張りや剥がれがある外壁は塗料の分類だけで解決しない
直張りサイディングとは、板の裏側に通気のための空間を設けない施工方法です。「直張りだから水性を使えばよい」と、塗料の分類だけで対応を決めることはできません。
塗膜の剥がれがある場合も、表面の塗膜、板本体、目地のどこに傷みがあるのかを分けて確認します。施工方法と剥がれが同時に分かっても、それだけで原因を確定することはできません。
例えば、施工会社には次のように聞いてみましょう。
直張りという判断は、図面や現地のどの部分を確認したものですか。
剥がれているのは塗膜ですか。板本体にも傷みがありますか。
塗装前にどの範囲を処置し、確認できていない部分はどこですか。
塗料を選ぶ前に、必要な補修や、塗装で対応する範囲を整理することが大切です。
直張りかどうかの調べ方や工事の比較は、直張りサイディングの確認点と工事の選び方を参考にしてください。
◾️見積書では製品名・工程・施工条件を確認する
提案書に「水性塗料」「弱溶剤塗料」と書かれていても、それだけでは施工内容は分かりません。対象の部位、正式な製品名、塗装前の処置、下塗りから仕上げまでを対応させて確認しましょう。
下地処理と塗り重ね条件を具体的に聞く
例えば、古い塗膜の剥がれがある場所なら、「その上に何を塗るか」だけでなく、「剥がれかけた部分をどこまで処置するか」も確認します。
下塗り・中塗り・上塗りという工程名が並んでいる場合も、製品ごとの塗り重ね条件まで同じとは限りません。施工会社が、採用する仕様と現場で行う作業を結び付けて説明できるかを確かめてください。
確認すること | 施工会社への質問例 | 確認する説明・記録 |
|---|---|---|
外壁材と古い塗膜 | 何の外壁で、表面はどのような状態ですか? | 製品情報、調査写真、過去の塗装記録 |
製品名と対象部位 | 外壁・雨樋・金属部に、それぞれ何を使いますか? | 部位と正式な製品名の対応 |
下塗りと上塗り | この組み合わせが使える根拠は何ですか? | メーカーの適用下地・塗装仕様 |
塗装前の処置 | 剥がれや傷んだ部分を、どの範囲で処置しますか? | 場所が分かる写真と補修・下地処理の内容 |
施工条件 | 乾燥中の天候や塗り重ね条件を、どう確認しますか? | 採用製品の仕様と工程管理の説明 |
においへの配慮 | 下塗りや付帯部も含め、何をいつ使いますか? | 使用部位、作業日程、生活上の確認事項 |

【見積書で部位・製品・工程を確認する項目の図】
塗料名に加えて工程や記録を確認する考え方は、外壁塗装の持ちと下地・施工内容の確認点で詳しく紹介しています。
においが気になる場合は部位と作業日を相談する
外壁の上塗りが水性でも、下塗りや付帯部で別の材料を使う場合があります。「外壁は水性です」という説明だけで、工事全体のにおいの出方までは分かりません。
相談するときは、「どの部位に何を使うのか」「その作業はいつ行う予定か」「窓の開閉や換気設備について事前に相談することはあるか」を確認しましょう。
例えば、普段使う部屋の窓の近くに塗装対象があるなら、その場所を伝えると具体的な話ができます。作業日や範囲と生活上の希望を照らし合わせ、現場に合う対応を施工会社と相談してください。
においの感じ方や住宅の条件は異なります。一律の対処や、においがなくなる時間を決め付けず、使用材料と作業内容に即した説明を受けることが大切です。
◾️水性か弱溶剤か迷ったら外壁の状態と希望を伝える
水性塗料と弱溶剤塗料を選ぶときは、分類名だけで決めず、自宅の外壁に適した製品と工程になっているかを確認しましょう。
相談時には、分かる範囲で外壁の製品情報や過去の塗装記録を伝え、気になる剥がれ・割れ・汚れの場所を整理しておくと、提案の理由を確認しやすくなります。においや艶、色などの希望も併せて伝えてください。
ケイナスで扱う工事の案内は、外壁塗装の施工メニューをご覧ください。
さいたま市周辺で外壁塗装を検討されている方は、気になる症状や仕上がりの希望を整理し、ケイナスの会社案内・相談窓口からご相談ください。
