陶器瓦は塗装不要?漆喰・棟・下葺き材の点検と補修の考え方
ブログ
執筆:
那須康一郎
経歴:
株式会社ケイナスホーム創業者/
株式会社ケイナス代表取締役
※ケイナスホームでは18年間で3000棟以上の施工実績
保有資格:雨漏り診断士/外装リフォームマスター/1級塗装技能士/1級防水施工技能士陶器瓦そのものは、基本的に定期的な塗り替えを必要としません。ただし、屋根全体の点検や補修まで不要になるわけではありません。 瓦の割れやずれ、棟、漆喰を使う部分、瓦の下にある部材は、分けて状態を確かめる必要があります。〖三州瓦〗防災瓦の株式会社鶴弥
「塗装しなくてよいなら、このままで大丈夫?」「漆喰の欠けを指摘されたら、屋根全体を直す必要がある?」と迷ったときは、まず自宅の瓦の材質と、傷みを指摘された部材・場所を整理しましょう。
この記事では、自宅で無理なく見える変化の例と、業者に確認したいことを紹介します。表面の見た目だけで工事を決めず、必要な補修の理由と範囲を理解するための確認点をまとめました。
◾️陶器瓦の塗装が基本的に不要な理由
ここで扱う陶器瓦は、粘土を成形し、釉薬をかけて焼いた瓦です。表面には焼成によってできたガラス質の層があり、塗装で着色・保護する屋根材と同じように、定期的な塗り替えを前提としていません。
瓦メーカーの鶴弥も、釉薬を施した粘土瓦について、塗り替えによるメンテナンスは不要と説明しています。詳しくは鶴弥「よくあるご質問」の「瓦のメンテナンスについて」を参照してください。〖三州瓦〗防災瓦の株式会社鶴弥
陶器瓦かどうかは、形や色だけで決めない
「洋瓦」「平たい瓦」といった呼び名だけでは、自宅の瓦の材質までは分かりません。釉薬を使う瓦のほか、いぶし瓦や無釉の瓦などもあり、形と材質・表面の仕上げは別に確認する項目です。
この違いは、全日本瓦工事業連盟「瓦の性能・各種瓦の紹介」でも整理されています。見た目が似ているという理由で、セメント系の瓦などにも陶器瓦の説明を当てはめないようにしましょう。yane.or.jp
手元に図面・仕様書・過去の工事書類があれば、屋根材のメーカーや品名を探します。分からなければ、業者に「何を根拠にこの材質と判断しましたか」と尋ねてください。艶がある、灰色である、といった見え方だけで確定する必要はありません。
過去に塗り直した屋根では、元の瓦の材質に加え、現在の塗膜をどう扱うかも個別の確認が必要です。
「塗装不要」と「屋根の手入れ不要」は別
瓦本体が丈夫でも、棟や下地まで同じ状態であり続けるとは限りません。棟は屋根面が合わさる頂部などを指し、構法によっては漆喰を使う部分があります。瓦の下には、下葺き材や屋根を支える野地板などもあります。
例えば、傘の生地が丈夫でも、骨や留め具まで傷まないとは限りません。瓦屋根も、瓦本体と、棟やその下の部材を分けて考えると整理しやすくなります。傘と屋根では構造は異なりますが、確認したいのは「屋根のどの部材の話なのか」という点です。
鶴弥のFAQでも、瓦の塗り替えとは別に、屋根下地や棟の漆喰などの点検・維持管理が必要とされています。「塗装は不要」と説明されたときも、「今回確認した部材はどこまでか」を併せて聞いておきましょう。〖三州瓦〗防災瓦の株式会社鶴弥
◾️自宅で見える変化は、どこまで判断できる?
瓦・棟・室内の変化を、場所と一緒に整理する
例えば、地上から見える範囲で、棟の下の白い部分が欠けたように見えたり、一枚の瓦の先端が周囲とそろっていないように見えたりすることがあります。これは、相談で場所を伝えるための例です。
「玄関から見て右側の棟」「道路側の軒先付近」のように位置を添え、「どの部材に、どのような確認が必要ですか」と尋ねると、屋根全体を一括りにせず説明を受けられます。
見える変化の例 | 伝える場所・状況 | 業者へ聞くこと | 見た目だけでは分からない点 |
|---|---|---|---|
一枚の瓦の先端が、周囲とそろっていないように見える | 道路側・玄関側などの位置、気付いた時期 | 本当にずれがありますか。周囲の瓦や固定部分は何を確認しますか | ずれの有無・原因、固定の状態、必要な補修範囲 |
棟の下の白い部分が欠けたように見える | どの棟の、どの辺りか | その部材は何ですか。欠けた部分以外に、棟についてどこまで確認しましたか | 漆喰かどうか、表面以外の状態、部分補修で足りるか |
雨の日に、室内の天井の染みが変化する | 部屋・天井の位置、雨との関係、変化の様子 | 原因を確かめるために、どこをどの方法で調べますか | 水の入り口や経路、瓦・漆喰との関係、必要な工事 |
こうした見え方は相談の手がかりであり、原因や内部の状態、工事の要否・緊急性を決めるものではありません。 瓦の並びが違って見えても撮影方向などの影響があり、天井の染みがあっても瓦や漆喰が原因と特定できたわけではありません。
確認するのは、地上や室内から無理なく見える範囲にとどめてください。屋根へ上ったり、脚立で近づいたり、瓦や漆喰を動かして調べたりする必要はありません。写真が撮れなければ、場所と言葉で気付いたことを伝えましょう。

訪問者などから急に傷みを指摘された場合は、屋根の傷みを突然指摘されたときの対応も参考にしてください。
色むらや細い模様だけで、塗装・交換を決めない
陶器瓦の色の見え方や表面の細い模様には、傷み以外の説明が当てはまる場合もあります。例えば、鶴弥は焼き物特有の色差や、釉薬の表面に生じる「貫入(かんにゅう)」を説明しています。
ただし、自宅の瓦に見える線が貫入なのか、瓦本体の割れなのかは、離れた場所からの見た目や写真だけで決めないでください。「細い線だから大丈夫」とも、「線があるからすべて交換」とも言い切れません。
塗装や交換を提案されたときは、「汚れや色の違いなのか、瓦本体の損傷なのか」「その判断の根拠は何か」を確認しましょう。きれいに見えることだけを理由に、瓦の下まで健全だと判断することもできません。
表面の見え方を確かめるために、自分で薬品や高圧洗浄を試すことは避け、材質と状態に合う確認を業者へ相談してください。
◾️点検では瓦本体・棟・下葺き材を分けて確認
漆喰の補修だけで足りるか、棟の状態も尋ねる
漆喰が使われている部分に欠けなどを指摘された場合は、写真の位置と、提案書の補修範囲を対応させてもらいましょう。「漆喰補修」という項目だけでは、どの棟のどこを対象にするのかまで分からないことがあります。
聞きたいのは、次の点です。
指摘された白い部分は何の部材で、どの場所が補修対象ですか。
棟や周囲の瓦について、何を確認できていますか。
漆喰の処置で対応する提案なのか、別の部材にも作業が必要なのか、その理由は何ですか。
欠けの見え方だけで、棟全体や屋根全体の改修が必要とは決まりません。一方で、表面に漆喰を足せば対応できるとも限りません。棟の構法と確認結果を踏まえ、部分的な処置を提案する場合も、範囲を広げる場合も、その理由を説明してもらうことが大切です。
瓦の下は、何をどこまで確認したかを聞く
下葺き材は、瓦の下に施工する防水シートなどを指します。野地板は屋根を支える下地の板です。これらは瓦の表面とは別の部材なので、屋根面の写真だけで状態まで分かったことにはなりません。
点検の説明では、「見える範囲では大きな変化がなかった」という結果と、「瓦の下の部材も確認した」という結果を分けて受け取りましょう。業者には、次のように尋ねると具体的です。
今回は、瓦本体・棟・下葺き材・野地板のうち、何を確認しましたか。
どの方法で、どの場所まで確認できていますか。
見えていない部分はどこで、追加の確認が必要ですか。
追加確認をする場合、どんな作業と範囲を予定していますか。
必要な確認方法は、屋根の構法や状態によって変わります。すべての屋根で瓦を持ち上げると決まっているわけではなく、ドローンで表面を撮影すれば内部まで分かるわけでもありません。方法と確認できる範囲を、セットで説明してもらいましょう。

部分補修か屋根全体の工事かを比べるときも、まず傷みの対象となる部材と確認範囲をそろえます。工事の範囲を比較する際は、屋根の傷んだ部材と工事範囲の確認方法も参考になります。
◾️職人直営の私たちが大切にする、必要な屋根工事の見極め
私たちケイナスは、職人直営の施工店として、必要な工事を見極め、施工品質と工事内容に見合う提案を大切にしています。陶器瓦の屋根を検討するときは、「どの部材の、どの状態に対応する工事か」を確かめることが出発点です。
例えば、棟の下にある白い部分の欠けをきっかけに相談するなら、「漆喰が対象なのか、棟や周囲の瓦にも確認が必要なのか」「今回の調査で分かった範囲と、まだ分からない部分はどこか」を尋ねると、提案の理由と範囲を整理できます。
提案を見比べる際は、次の項目を同じ場所について確認してみてください。
比較する項目 | 確認したい内容 |
|---|---|
対象の部材と場所 | 瓦本体・棟・漆喰・下葺き材など、何のどの部分を扱う提案か |
確認できた範囲 | 実際に見た場所と方法、まだ確認できていない部分はどこか |
提案の対象・対象外 | 何を処置し、どの部材には今回の工事が及ばないのか |
同じ「屋根補修」という説明でも、この内容が違えば、工事範囲も変わります。仕上がりだけでなく、どの状態へ対応する作業なのか、施工後に何を確認するのかまで尋ねると、工事内容を理解しやすくなります。
塗装が基本的に不要な材質であることと、必要な補修を見落とさないことを、分けて考えましょう。職人直営の施工店へ相談したい方も、ご自宅の部材と状態に結び付いた説明を判断材料にしてください。
対応する工事は、瓦差し替え・漆喰補修などの施工メニューでもご案内しています。
◾️気になる場所と確認範囲をそろえて相談する
陶器瓦なら定期的な塗り替えは基本的に不要ですが、棟や瓦の下まで手入れ不要とは限りません。自宅の材質と、どの部材をどこまで確認できたかをそろえて、必要な補修範囲を相談しましょう。
家族で検討するときは、「瓦だから大丈夫」「欠けがあるから全面工事」という結論だけを共有せず、材質・気になる場所・確認できた範囲・提案された処置を一緒に伝えると、判断の条件が抜けにくくなります。
相談前には、気付いた場所と変化、他者から指摘された内容を整理しておくと説明しやすくなります。屋根材や過去の工事の書類があれば添え、なければ分かる範囲から伝えてください。写真のために屋根へ上る必要はありません。外観が似た家の工事をそのまま選ぶのではなく、自宅で何が確認でき、何を追加で確かめる必要があるかを聞くことから始めましょう。
さいたま市で瓦屋根の手入れを検討している方は、気になる場所を伝え、ケイナスへ瓦屋根の状態と必要な工事範囲を相談することから始めてみてください。
執筆者:株式会社ケイナスの有資格担当者。保有資格:雨漏り診断士/外装リフォームマスター/1級塗装技能士/1級防水施工技能士。この記事では、陶器瓦の塗装の要否と、瓦・棟・下葺き材を分けて点検・補修を検討する際の確認点を整理しています。
