屋根の遮熱塗料は本当に涼しくなる?効果・デメリットと選び方
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執筆:
那須康一郎
経歴:
株式会社ケイナスホーム創業者/
株式会社ケイナス代表取締役
※ケイナスホームでは18年間で3000棟以上の施工実績
保有資格:雨漏り診断士/外装リフォームマスター/1級塗装技能士/1級防水施工技能士「2階の暑さを和らげたい」「屋根を塗るなら遮熱塗料を選んだ方がよいのか」。屋根塗装を検討するとき、実際にどれほど違いが出るのかは気になるところです。
遮熱塗料には、日射による屋根表面の温度上昇を抑える働きがあります。屋根から室内へ伝わる熱を減らす助けになりますが、室温の変化や涼しさの感じ方は、日当たり、屋根の色、断熱・換気などの条件で変わります。屋根表面の温度低下を、そのまま室温の低下として受け取らないことが大切です。
この記事では、遮熱と断熱の違い、試験データの読み方、後悔を避ける確認点を整理します。屋根の傷みがある場合のカバー工法も含め、必要な手入れと暑さ対策を分けて考えていきましょう。
◾️遮熱塗料でできることと、断熱との違い
日射を反射し、屋根が熱くなるのを抑える
遮熱塗料は、太陽光に含まれる近赤外線などを反射することで、屋根が吸収する日射のエネルギーを減らす塗料です。屋根に蓄えられる熱を抑え、屋根から建物へ入る熱を減らす方向に働きます。
一方、断熱は、材料の層などによって熱を伝わりにくくすることです。遮熱塗料を塗ることと、天井や屋根に断熱材を施工することは、働きも確認する仕様も異なります。
身近なものなら、反射する表面を持つ日傘と、断熱層を持つ保冷バッグの違いを思い浮かべると分かりやすいでしょう。日射を受ける段階で対処する働きと、熱が移動するのを抑える働きの違いです。
塗料は日傘のように物理的な日陰を作るものではありませんが、「日射を反射する性能」と「熱を伝えにくい層」を分けて考える助けになります。
製品によっては、専用の下塗りと上塗りを組み合わせて遮熱性能を発揮する設計もあります。例えば、日本ペイントのサーモアイは、両方の塗膜で反射させる仕組みを説明しています。性能を見るときは、上塗り材の名前だけでなく、指定された組み合わせも確認しましょう。

屋根表面と室内では、温度の意味が違う
「温度が下がる」という説明を見たら、まず測定した場所を確認してください。屋根の表面、小屋裏、室内の空気は、それぞれ別の測定対象です。
エスケー化研が公開する、危険物倉庫を想定した試験では、折板屋根の半面にグレー色のクールタイト、残り半面に同系色の一般屋根用塗料を施工しています。埼玉県内で8月に行った試験の結果は、次のように示されています。
測定対象 | メーカーが示す平均温度差 |
|---|---|
屋根表面 | 遮熱塗料側が11.6℃低い |
倉庫内部の中央位置 | 遮熱塗料側が4.6℃低い |
※これは倉庫を想定した特定条件の試験結果です。戸建て住宅の2階が同じだけ涼しくなるという意味ではなく、ケイナスの施工現場で測定した値でもありません。
この例から読み取れるのは、屋根表面と内部の温度差を分けて見る必要があることです。広告や見積もりの説明でも、「何と比較し、どこを、どの条件で測った数値か」を確かめると、期待できる範囲を理解しやすくなります。

◾️自宅での効果を考える四つの条件
同じ遮熱塗料でも、自宅で感じる違いは一定ではありません。次の四つを整理すると、屋根塗装が暑さ対策のどこを受け持つのかを相談しやすくなります。
確認する条件 | 比較・相談するときの見方 |
|---|---|
屋根に当たる日射 | 強い日射を受ける面と、周囲の建物などで日陰になる面を分ける。日射による加熱が小さい面では、遮熱による追加効果も限られる |
現在と塗り替え後の色 | 色が変わる影響と遮熱機能の影響を区別する。同系色との比較か、希望色の日射反射率かを確認する |
屋根・天井の断熱や小屋裏の構成 | 屋根で抑えた熱が、室内の変化としてどの程度現れるかを考える条件。図面や過去の改修記録を確認する |
暑い部屋と時間帯 | 最上階の日中か、西日の当たる部屋か、夜まで暑いのかを記録する。窓からの日射や室内の発熱も含めて相談する |
金属屋根やスレート屋根という材料名だけで、室温への効果は決まりません。塗装できる材料・状態かを確認したうえで、日射、色、断熱などを組み合わせて考えることが必要です。
既に断熱が充実している住宅では、屋根表面の変化に比べて室内の違いが小さくなることがあります。逆に、断熱が少ないことは屋根からの熱の影響を検討する理由になりますが、遮熱塗料だけで断熱不足まで解消できるとは判断しないようにしましょう。
◾️遮熱塗装で後悔を避けるための確認点
夜の暑さや断熱不足も、別に考える
遮熱塗料の中心となる働きは、日射を受けている間の加熱を抑えることです。日中に蓄える熱を減らす助けになりますが、夜に室内へたまった熱を積極的に排出する設備ではありません。
夜の暑さが主な悩みなら、暑くなる時間、窓の向き、冷房の使用状況、小屋裏の換気や断熱の状態も併せて確認しましょう。日中の屋根表面に対する試験値だけで、夜間の寝室の改善幅まで決めることはできません。
「遮熱で屋根への日射を抑える」「断熱で熱の移動を抑える」「換気などで熱を逃がす」という役割を整理すると、どこを補う提案なのかが分かりやすくなります。
色と汚れの影響を確かめる
遮熱塗料は、同じ製品でも色によって性能が異なります。濃い色の遮熱塗料と明るい色の一般塗料を、製品の種類だけで優劣判断するのは避けましょう。
例えばエスケー化研は、クールタイトシリーズについて、同じ色の一般塗料との比較と、色の明るさによる日射反射率の違いを分けて説明しています。また、汚れの付着が遮熱効果の低下につながることも示しています。
確認したいのは、希望する色での性能と、汚れに対する製品の考え方です。「遮熱だからどの色でも同じ」「塗れば性能が変わらない」と受け取らず、色番号と対応する資料を見せてもらいましょう。
塗料名と一緒に、下地と施工仕様を見る
遮熱機能があっても、その屋根に合う仕様で施工できることが前提です。屋根材と既存塗膜の種類、傷み、必要な補修を確認し、下塗り・上塗りの組み合わせを比べましょう。
見積もりで確認すること | 尋ねたい内容 |
|---|---|
屋根材と既存塗膜への適合 | この材料・塗膜に、なぜこの塗装仕様が使えるのか |
補修と下地調整 | 塗る前に直す箇所はどこか。塗装とは別にどんな処置が必要か |
下塗りから上塗りまでの製品 | メーカーが指定する組み合わせになっているか |
塗付量・工程・乾燥条件 | 採用製品の施工要領に対して、どのような仕様で施工するのか |
効果を説明する資料 | 希望色・比較対象・測定場所が、自宅への説明と対応しているか |
例えば日本ペイントのサーモアイでは、下塗りも遮熱の仕組みに関わります。別の製品でも同じ仕組みだと決めず、採用する製品の資料と見積書を対応させて確認することが大切です。
◾️遮熱塗装とカバー工法は、目的と屋根の状態で比べる
屋根の手入れと暑さ対策を同時に考えると、遮熱塗装のほかにカバー工法が候補になることもあります。ただし、工事の目的と範囲が異なります。
選択肢 | 主に検討する目的 | 選ぶ前に確かめること |
|---|---|---|
遮熱塗装 | 塗装で維持できる屋根の手入れに、日射による加熱を抑える仕様を組み合わせる | 塗装への適合、補修の範囲、色、下塗りを含む仕様 |
屋根カバー工法 | 既存屋根を残し、新しい屋根材と下葺き材を施工して改修する | 既存屋根・下地の状態、勾配、固定方法、荷重、採用屋根材の性能 |
屋根・天井の断熱改修 | 熱が室内へ伝わる経路への対策を検討する | 既存の断熱層、施工できる範囲、換気・結露を含む建物の構成 |
カバー工法で使う屋根材には、遮熱性のある表面と断熱材を組み合わせた製品があります。例えばアイジー工業のスーパーガルテクトは、その両方を備える屋根材として説明されています。
ただし、カバー工法という名称だけで、同じ断熱性能が備わるわけではありません。採用する屋根材と断熱材の有無・仕様を確認してください。
また、上から屋根材を重ねる工事も、既存の下地の確認が必要です。アイジー工業の改修用施工説明書でも、既存屋根・野地板・下地の状態などを踏まえて工法を選ぶことが示されています。傷みへの対応を省き、暑さだけを理由に工法を決めることは避けましょう。
ケイナスで案内している工事の範囲は、屋根塗装・屋根工事の施工メニューで確認できます。
◾️ケイナスが重視する、必要な補修と遮熱仕様の分け方
ケイナスは、必要な工事を見極め、施工品質と工事内容に見合う適切さを重視しています。遮熱塗料を検討するときも、「屋根を維持するために必要な処置」と「暑さ対策として選ぶ仕様」を分けて考えることが、この方針に沿った比較になります。
例えば、固定部分の補修が必要なら、遮熱塗料を選ぶかどうかとは別に、その処置の理由と範囲を確認します。そのうえで、屋根からの熱への対策として、希望色の遮熱仕様を加える理由があるかを比べます。
ケイナスのさいたま市大宮区の屋根・外壁塗装事例では、スレート屋根の色あせなどを踏まえて塗装を行い、屋根の固定部分で釘をビスへ変更し、頭部にコーキングを施工しています。塗る面への施工と、固定部分の補修を分けて紹介している事例です。
この事例を自宅の相談に生かすなら、「塗装の範囲に、どの補修が含まれるか」を尋ねることができます。屋根の塗装・補修の内容を示すものであり、遮熱による室温低下の実績を示す事例ではありません。

実際の施工内容は、大宮区の屋根塗装と固定部補修の事例で紹介しています。
遮熱機能を選ぶ場合も、補修や下地調整の範囲をそろえて見積もりを比較しましょう。確認したいのは、「遮熱を付けるとよい」という結論だけでなく、自宅の屋根と暮らしのどの条件が、その提案につながるのかという理由です。
◾️屋根の状態と暑くなる時間帯を整理して相談する
遮熱塗料は、日射による屋根の加熱を抑える選択肢です。屋根の手入れを考える時期に、屋根からの熱への対策も組み合わせたい場合には、比較する価値があります。
相談前には、次の三つを整理しておくと、自宅に合う説明を受けやすくなります。
暑いのはどの部屋で、日中・夕方・夜のいつか。
屋根の材料、過去の塗装・補修、断熱について分かる資料があるか。
屋根の手入れに加えて、屋根表面の加熱、室内の暑さ、夜の熱ごもりのどれを改善したいか。
家族で検討するときは、「屋根表面を熱くなりにくくする効果はあるが、室内の変化は家の条件で違う。まず必要な補修を確かめ、そのうえで遮熱仕様を選ぶ理由を聞こう」と共有すると、効果と条件を一緒に伝えられます。
ケイナスへは、屋根が塗装で維持できる状態か、必要な補修は何か、希望色と施工仕様で何を期待するかをまとめてご相談ください。カバー工法などの改修も候補になる場合は、屋根・下地の状態に対して、なぜその工事を検討するのかを確認していきましょう。
ケイナスへの屋根のご相談は、公式サイトのお問い合わせフォームから受け付けています。
この記事の執筆者
那須康一郎
保有資格:雨漏り診断士/外装リフォームマスター/1級塗装技能士/1級防水施工技能士
この記事では、屋根表面と室内の温度を区別する見方、遮熱塗料の色・下地・施工仕様の確認点、屋根の状態に応じた工事の比較方法を説明しています。
