パミール屋根は塗装できる?販売時期と劣化状態から工事を考える方法
ブログ
執筆:
那須康一郎
経歴:
株式会社ケイナスホーム創業者/
株式会社ケイナス代表取締役
保有資格:雨漏り診断士/外装リフォームマスター/1級塗装技能士/1級防水施工技能士「屋根材がパミールだから塗装できない」と言われたら、まず本当にパミールなのか、次に屋根材の板そのものがどの程度傷んでいるかを確認しましょう。色あせた表面を塗ることと、割れたり層状に剥がれたりした板を直すことは、別の工事です。
パミールについて、「この販売年なら塗装できる」「後期製品なら塗装できる」という年代別の基準は確認できませんでした。 年代は製品や付属部材を調べる手掛かりにとどめ、塗装の可否は現状と使用する塗料の適合性を踏まえて判断します。屋根材本体が著しく弱っている場合は、塗装では対応できないことがあります。エスケー化研株式会社
◾️パミールはいつ販売された、どんな屋根材?
無石綿屋根材としての販売経緯
パミールは、ニチハが販売した無石綿の住宅用屋根材です。同社の1996年の発表には、すでに生産していたパミールの増産と、屋根材事業への本格進出が記されています。販売時期については、同社の後年のお知らせに1996~2008年と記載されています。これは製品の販売時期であり、個々の住宅の建築年や屋根の施工年を示すものではありません。ニチハの当時の発表とパミール用釘に関するお知らせで確認できます。nichiha.co.jp
無石綿であることは、現在の屋根材に割れや剥がれがないことを意味しません。反対に、無石綿という理由だけで、すべてのパミールに同じ傷みが生じると決めることもできません。まず住宅の仕様書や過去の工事記録で製品名を確認し、現在の状態と分けて考えます。
屋根材本体と付属の釘は分けて確認する
パミールについて調べると、屋根材の剥がれとは別に、付属の釘に関するメーカーのお知らせが見つかります。ニチハは2010年、一部のパミール用釘について、表面処理の厚さが不足し、腐食によって屋根材のずれや落下につながる可能性を公表しました。対象の釘の無償配布期間は1997~2007年です。同じお知らせには、パミール本体の安全性については問題ないとの同社の見解も記されています。nichiha.co.jp
したがって、板が剥がれている状態と、釘の腐食や屋根材のずれが疑われる状態を一つの原因として扱うことはできません。屋根材のずれを指摘された場合は、板本体と固定部分のどちらに異常があるのかを確認してもらいましょう。
◾️パミールを塗装しにくいのはどのような状態?
板が層状に剥がれる、割れる、欠ける
塗装を検討する際、色あせだけでなく、板の端部や表面が何層にもめくれるように剥がれていないか、割れや欠けが広がっていないかを確認します。
パミールの塗り替えについて、塗料を扱う事業者の公開FAQは、経年によって基材が層状に剥がれる状態では塗装に適さない、という見解を示しています。これはその事業者の技術的な見解であり、すべてのパミールに同じ症状があるというメーカーの判定ではありません。実際の屋根の症状と範囲を確かめる必要があります。塗料通販のペイントシティーコム塗装⽤品・防⽔材専門塗料屋さん
表面だけを塗っても直せない理由
木製の椅子にニスを塗り直しても、割れた脚そのものは直りません。屋根も同じように、表面の塗膜が傷んでいるのか、屋根材本体が割れたり剥がれたりしているのかで必要な処置が変わります。
屋根用塗料を製造するエスケー化研は、彩色スレートの基材自体の強度低下が著しい場合、塗装できないことがあると注意しています。塗装を提案されたら、「洗浄や下地処理に板が耐えられるか」「塗装後も板本体の剥がれが進まないと判断した理由は何か」を聞いてください。エスケー化研の製品情報は一般的なスレートの適用条件を示すもので、パミールの各住宅を個別に診断した資料ではありません。エスケー化研株式会社

◾️塗装できる可能性が高い年代はある?
販売年だけで塗装可否は決められない
確認できたメーカー資料には、パミールの販売時期は1996~2008年とあります。しかし、そのうち「何年以降の製品は塗装しやすい」「何年以前は塗装できない」と区分する資料は見つかっていません。したがって、塗装できる可能性が高い年代を、この記事で示すことはできません。nichiha.co.jp
また、釘のお知らせにある1997~2007年は、対象となる釘の無償配布期間です。屋根材本体の塗装可否を分ける年号ではありません。「後期に施工したから塗装できる」「対象の釘の期間外だから板も問題ない」といった判断は避けましょう。nichiha.co.jp
傷みが目立たない場合にも確認すること
遠目に色あせしか見えない場合でも、それだけで「塗装できる可能性が高い」とは言えません。板の端部や重なり部分に剥がれ・欠けがないか、屋根全体のどの範囲を確認したかを聞きます。
さらに、使用する塗料について、パミールと現在の下地状態に適用できる根拠を確認しましょう。ニチハの一般向け工法比較では、塗り替えの条件を、表面や下地の傷みが少なく塗装が可能な屋根としています。一般的な条件を満たすかどうかと、この住宅のパミールを塗装する判断は分けて確認する必要があります。nichiha.co.jp
確認した状態 | 塗装を考える際の扱い |
|---|---|
板の層状の剥がれ、広がる割れ・欠けがある | 表面塗装で板本体は直らないため、別の工事を含めて検討する |
遠目には色あせが中心で、板の傷みは未確認 | 塗装可能とは判定せず、製品名・端部・下地・塗料の適合性を確認する |
板本体の状態を確認し、塗料の適合性も説明された | その説明と施工条件を比較する。販売年だけで採否は決めない |
◾️塗装が難しいときは、どの工事を検討する?
パミールの板本体が傷み、塗装では必要な処置にならない場合は、既存屋根の上に新しい屋根材を施工するカバー工法(重ね葺き)や、既存屋根材を撤去する葺き替えを比較します。どちらを選べるかも、販売年だけでは決まりません。
ニチハは、重ね葺きの施工前に既存の化粧スレートの老朽度を診断する手順を示しています。一方、葺き替えでは既存材を撤去することで下地を確認し、必要な処置を検討できます。ニチハの重ね葺きの説明と葺き替えの説明を参考に、提案された工法が既存の板、固定部分、下葺材・下地のどこを扱い、どこを残すかを確認してください。nichiha.co.jp
パミール用釘に関連するずれが疑われる場合は、その確認と必要な処置も工事の検討に含めます。板の傷みだけを見て固定部分を確認済みとは扱わないでください。

◾️パミールかどうかを確かめてから工事を選ぶ
パミールの販売時期は分かっても、塗装できる年代の境界は確認できません。製品名、板本体の傷み、固定部分、下地の確認結果をそろえ、提案された工事が何を直すのかを確かめましょう。
屋根材の仕様書、指摘された箇所の説明、過去の補修歴などが分かれば、株式会社ケイナスへご相談の際にお伝えください。屋根の状態に対して塗装で扱える範囲と、別の工事を検討する範囲を整理するための材料になります。
